メンターが遺してくれたこと

仕事で、闘病の併走を通じて、教えとして遺してくれたことをグリーフケア兼ねて綴ります

告知直後こそ大事な緩和ケア~知っていてほしいオプション

何で知ったのかは覚えていないですが、色々と闘病記やら生死に関する本を大量に読み漁っていた私は、がん告知を受けたら緩和ケアもセットで受ける!と当然のように思っていました。

 

しかし、この認識は一般的ではないようで、緩和ケア=終末期、とか、治療方法がない人が受けるもの、という印象が強いようですね…。

 

緩和ケアの詳細については、日本緩和医療学会が以下のサイトで丁寧に説明されているので参考にしてもらえたらと思います。

www.kanwacare.net

ここでは、実際それを知っていたらどうだったか、についての経験を残しておきたいと思います。

 

まず最初の印象としては、私が付き添っていた病院はがんの専門病院で、緩和ケア科(精神腫瘍科という名前だったりもします)もありましたが、治療に受け身の態勢でいるとたどり着きにくそう…というものでした。

 

主治医と最初からある程度コミュニケーションが円滑にとれている、主治医が緩和ケアについて積極的、とかだったらラッキーですが、がん治療スタート=緩和ケアがセットでついてくる、というわけではありません。

 

がんの専門病院などは特にそうだと思うのですが、がん治療はチームで動くイメージです。

治療が始まると、私達の場合は
咽頭がんということで頭頸部外科の先生
・食道に転移していたので外科の先生
放射線治療をすることにしたので放射線科の先生

と主治医だけで3人、それ以外に

・歯科の先生
・薬剤師さん
・栄養士さん
・看護師さん
・入院事務関係の担当者の方

とそれぞれの担当があって、受け身でいても、入れ替わり立ち替わり本当に沢山の方と関わります。(そして一気に情報がきて頭がパンクする笑)

ただ、そこに緩和ケアの先生というのは入っていません

言い方は語弊があるかもですが、現状では緩和ケアというのはオプションなんだな、というのが私の感想です。

 

そもそも受け身でいても、パンクする程の情報や検査日程などが来るので、それらを捌きつつ、告知を受けた初期、余裕もない時に更にこちらから情報をとって働きかけるというのは大変です。

私はたまたま緩和ケアというオプションがあることを知っていたので、組み込もうと頑張れましたが、そもそもそんなオプションがあると知らなかったら、不安の解消のケアにまで頭が回ったかはわかりません。

だからこそ、これから治療を頑張る方と付き添う人達に、ひと頑張りして緩和ケアにたどり着いてもらい、少しでも気持ちの負担を軽くしてほしいです。

 

ちなみに、私は付き添っていたお師匠様が、告知以降、あまり良く寝られていないこと、後はもともとの性格的にも、繊細な人だし、少しでも不安解消をして欲しく、とにかく早く緩和ケアをつけて欲しい!と思っていたのですが、怒濤の検査やら情報を捌きつつ、主治医は3人もいるし、そもそも厳密には家族でない私がどこまで口を出して良いのか、というちょっと特殊な状況下にもあったので、タイミングが難しかったです。

結果的には、看護師さんにこちらから積極的に緩和ケアをつけて欲しいと思っていることを伝え、放射線科の主治医が比較的丁寧に話をきいてくれたので、その際にあまりよく寝られていないことを伝えたところ、放射線科の先生が緩和ケア科に繋いでくださいました。

 

緩和ケアの先生は初回は1時間近く時間を取ってくださり、疑問や不安をきいてくださいました。

寝られていないことに関してのお薬の処方などもしてくださり、細かな不安、今後痛みがあった場合の対応なども請け負うので何でも伝えて欲しいと言われて、付き添っている私も安心しましたし、正直お師匠様が病院で一番コミュニケーションがとれたと感じた先生は、主治医よりも緩和ケアの先生だと言っていました。

 

主治医もしっかり対応してくださったのですが、本人としては、やはり時間をとって、話をしっかりきいてくれる先生が、どうしても印象が良くなりますね笑

 

なお、一通りの治療を終えた今は、定期的な緩和ケアの診察は受けていません。
本人も今はそこまで不安もないし、と言っていたので、最初の頃ほど必要性がなくなったというのもあります。

ただ、もし今後の治療でまた何か不安が出たときに、顔見知りの先生にかかれる、という安心感があること、そして今から振り返っても、やはり初期の不安を解消するのに、緩和ケアの診察は大切な時間だったと思います。

何もわからない、知らない時が一番不安だったりしますしね。

 

緩和ケア、終末期に受けるもの、という認識だと勿体ないです!

是非、一度緩和ケアの存在を知って、告知直後など、気持ちを整理する時間をとるという意味などでも取り入れてみては、と思います。

そして少しでも、治療を頑張る本人とその付き添いの方の不安な気持ちが解消しますように。