メンターが遺してくれたこと

仕事で、闘病の併走を通じて、教えとして遺してくれたことをグリーフケア兼ねて綴ります

プロデューサーとディレクターの違い

プロデューサーとディレクターの違いって何だと思いますか。

私がメンターに仕事関係で教えてもらったことで、一番印象に残っているものの一つがこのプロデューサーとディレクターの違いです。

私のメンターは、イベント業界における「プロデューサー」でした。

近年はフリーランスなどでは特に好きな肩書きを名乗ったもん勝ち、といった空気感や、それぞれの業界で○○プロデューサーと名乗っている人も多く、それこそ学生が自分で名刺を作って名乗っていることもあります。

その言葉に対する思い入れというのは人それぞれでしょうが、メンターの「プロデューサー」という肩書きに対する想いは凄く強かったのです。

「プロデューサー」と名乗ることに対する誇りや、あとはその役職に見合う能力の有無に対してとても厳しい目を持っていました。

 

最初、私もその辺りの感覚がよくわからず、メンターがブツブツ「だからアイツはディレクター止まりだ」などと愚痴を言うのをきいても、そもそも何がどう違うのだろう…と思っていました。

なので、ある日、タクシーのなかで喋っていた時にふと「プロデューサーとディレクターの違いって何ですか?」と尋ねたのだ。


返ってきた答えは「1秒で決められること」でした。

あまり言葉数が多い人ではなかったので、その後そんなにあれこれ説明してくれた記憶はないけれど、私自身はその言葉に、そしてほぼ即答でその返事を返されたことに、「プロデューサー」を自負するメンターの仕事を垣間見た気がして、あぁ本当に格好いいなと思ったのです。これがプロか、とも思いました。

 

実際、それ以降気にしていると、プロデューサーを名乗っている、名乗っていないに限らず「1秒で物事を決められる人」というのは意外と少ないです。
特に日本人は多数決が好きですしね。

でも、物事を統括する立場にあるプロデューサーが決めてくれないと、その下で働く人達の仕事もどんどん遅れが出る。その決断が正しいか、間違っているかはさておき、確かに「決める」というのはとても大事です。

そして決めたこと、に対しては責任が伴います。

当然その責任も受入れる覚悟をもって「1秒で決める」。

 

それ以来、私にとっても「プロデューサー」は特別で重い肩書きです。